Columコラム

2018.02.22

第1回 ラブライフで人生をもっと豊かに。女性を解放するラブライフのススメ。

ラブライフアドバイザーとして、女性やカップルの多くの性の悩みに応え続けているOLIVIAさん。

「エロ」や「アダルト」と捉えがちな性の問題をあえて「アカデミックに、真面目に」話すことで性の関心を持ってもらえるはず、と大学在学中からセックスやセクシャリティーの問題と向き合ってきました。

 

――そもそも、なぜラブライフの仕事をされているのか、そのきっかけを教えてください。

 

私が性に関する研究を始めたのは大学時代の頃です。ちょうどその頃って、恋愛や男女の交際がスタートする時期でもありますよね。自分も含めた周りの友人を見ていて、「女性が幸せな人生を歩んでいくときにパートナーとうまくいっているっていうのはすごく大事だ」と実感したんですね。

その中で性生活もうまくいっているカップルってやっぱり仲良しだし、女性が幸せを感じるときって充実感があるときだなって思ったんです。

でも周りを見るとセックスってやっぱりこう、「エロ」とか「アダルト」といった「男性の興奮を促す」ような情報やAVにあふれていて、女性が彼と楽しむためのセックスの情報って日本にはあまりなかったと思うんですね。

大学3年生だった私は、半年間オーストラリアの大学に留学して、海外の性教育の現場や、オーストラリアのLGBTカップル事情が日本より認知されていることを肌で感じました。

性に関すること、もっと言えば性行為だけじゃなく、「セクシャルアイデンティティ」も自分できちんと認めていて、「自分がしたい性生活やパートナーは自分で見つける」というものができている海外の国もあるんだな、ということを強く感じたんですね。

その後、帰国し大学の最後の年に、卒業論文で書いたテーマが、「女性のマスターベーション」。

マスターベーションという行為が歴史的に、また現代でもどういう扱いをされているか」というものでした。女性が自分で欲望を持って、それを認めて、自分で快楽を得るというマスターベーションは、セックスとはまた違った意味合いがあると思ったので、調査を始めました。

性生活に根差した女性の生き方…というものを考えたり、調べたりするのが好きでしたね。当時は医師が主催している性感染症の勉強会に行ったり、LGBT関連のイベントのお手伝いをしながら、女性が心地よく過ごせる性生活の情報が何なのか、探し始めた、ということがこの仕事を始めたきっかけになっています。

 

 

――大学在学中から、すでにラブライフに関心があったとのことですが、学部はなにを専攻していたんですか?

 

学部は人文学部だったので、研究テーマは何でもよかったんです、卒業論文の。私が所属していたゼミは性の研究をしたい人が集まるゼミだったんです。うちの大学ちょっと特殊で(笑)ゼミの先生自体が日本のアンダーグランドカルチャーに詳しい先生だったので、セクシュアリティの研究をしたい人のゼミとしてゼミ生が集まっていたんです。私以外にもセクシュアリティの研究をしている人はいましたね。

 

――いわばオープンに、そしてアカデミックに性の問題を扱って来たんですね。女性の先生だったのですか?

 

私のゼミの先生は男性でした。他に、日本における男性のセックスワーカーの現状を調べている人もいたし、戦隊ものに見るジェンダー観の変化を研究している人もいたし…、あとはゲイでもレズビアンでもない、バイセクシャルというジャンルという確立したカルチャーを研究している人がいたり、女性が楽しめるAVの研究をしている人がいたり。性を研究するっていうのに興味がある人が自然と周りにいました (笑)

 

――その時のオリビアさんの心情的には、日本社会で言うと男性視点の「性」が多すぎて、女性目線の性があまり語られていないっていう事に対する反発心みたいなものもあったんでしょうか?

 

うん、そういうのはあったと思います。フェミニズム的な価値観にもすごく感化されていた時期だったので、「女性だってもっと楽しんでいいじゃん!」みたいなちょっと反骨精神みたいなのもあったかもしれないですね。

でも男女でパートナーシップを築いていくときには、男性とけんかしてても始まらないので(笑)、男性は男性の考えがあって、性のメカニズムも女性とは全然違っているんですよね、当たり前ですけど。じゃあどうしたら男女仲良く、特にカップルや夫婦だったら折り合いをつけられるかな?と思ったら、男性のことも性質もよく知らなきゃいけなくなるんです。男性のことがわかると自然とセックスを多角的に見ることができるようになる…っていうんですかね。男心も女心も両方知ったうえで、どうやってパートナーシップを築いていったらいいか、セックスをもっとしていくかという風にシフトしていったんだと思います。

 

 

――大学の時に今話されたような気持ちで、性のことに関する研究とか卒業論文を書かれて、その後の就職はどうされたんですか?

 

私が考えているような、性を扱う就職先ってなかったんです。

ですので、卒業後はリラクゼーション業界に就職し、セラピストの道に進みました。もともと心身のケアをするセラピーに、興味がありましたし、セックスは「スキンシップの一部」と捉えることもできますよね。スキンシップを探求することはセックスにも繋がっていくと考えました。現在の仕事にも活きているのは、このセラピストのキャリアがあるからなんです。

そのため、卒業後はアロマセラピストや整体師として仕事をしていくかたわら、性の研究は自分のフィールドワークとして、興味がある本を読んだらそのレビューをブログに書くとか、勉強会に行ったらその感想を書くとか、そういったことを続けていたんです。そうしているうちに、性の情報を自分が思った感じで書いていったブログがたまたま出版関係者の方々の目に留まって、ウェブサイトでコラムを書かないか、とか本を出しませんかっていう風につながっていきましたね。

 

――大学生の時から、現在に至るまで人生が一貫しているのがまず驚きです。ぶれることもなかったんですか?

 

そうなんですよ、ぶれてないですね(笑)

 

――お話を伺っていると、まず学術的な裏打ちがあって、そのうえで「性」というものを見ている印象を受けます。

 

じつは、「わざと」アカデミックに見せているっていうのはあるんですよ。どうしてもエロの人っていうと下に見られるというか、セクハラもありますし。ちゃんとまじめにやってますよっていうのは見せますね。まじめに見せた方が、「下ネタは苦手だけど、性生活で悩んでいる」という一般の人が入りやすいんですよ。相談もしやすい雰囲気づくりとか、そういう心理的なことにも気を付けています。

お医者さんでもなく、アダルト業界の方でもなく、もうちょっと身近な存在で性の悩み相談を受けられる人ってなかなかいないじゃないですか。だからこそ、私の立ち位置として、「エロまじめな相談相手」を目指しています。相談者様は、アロマセラピーの施術を受けながら性の相談もできるので、構え過ぎなくて済むんだと思います。

 

 

――人文学部卒業ということを考えると、一般的にはマスコミ関係とかの就職が多いのかなと思うんですが、そこからあえて独自の施術をする道、自分で独自に研究する道っていうのにまったく迷いってなかったんですか?

 

昔からやりたいことをやる、と言ったら絶対に譲らなかったので。迷いは全然なかったですね(笑)

 

――卒業した際のキャリアビジョンとかってどういう風に考えていたんですか?

 

卒業した当時は、将来的にどうこうっていうキャリアビジョンはなかったですね。まずは「施術家」として身体のことをよく勉強しようとざっくりと考えていました。実際に、25歳頃ですかね、施術を一日中やっていると腰痛や身体の負担が大きくなってきてしまって。それで今度は、30歳までに教える側になろうと思って、セラピーを教える仕事の方を増やしていくようにしました。

セラピストとして活動しながら、27歳になった時に、オリビアとしてのキャリアをスタートしました。

カウンセリング会社に入社し、男性の性生活やパートナーシップのお悩みをカウンセリングし、アドバイスするという仕事に就きました。

9割くらいが男性の相談者さんだったのですが、男性心理や男性の悩みを聴くのはキャリアとして大変ためになりましたが、もともと自分がやりたいのは「女性のための情報発信」でした。現在は、ほぼ女性向けに情報を発信しています。

 

 

 

――以前のカウンセリング会社にいる時は、男性の悩みを四六時中聞いていたと思うのですが、その時に今までの男性に対して持っていたイメージとの変化はありましたか?

 

そうですね、男性も性生活に悩むということを目の当たりにしましたし、不真面目で誰とでもセックスしたいっていう男性ばっかりじゃないんだなっていうことがわかりました。

「奥様との関係を良くしたい」というように、真剣にパートナーシップに向き合っていました。

男性ってどっちかっていうと女性と違って、「浮気性」だとか「理性的じゃないほうが興奮する」とか言われるじゃないですか。だけど、ちゃんと真面目に考えている方もいらっしゃるし、悩んでる方もいらっしゃいます。やはり、そういう方の性生活やパートナーシップが良くなるといいな、と思って日々相談を受けていましたね。

 

 

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写真:田形千紘   文:掛端玲

 

編集・構成 MOC(モック)編集部
MOC.style – Moment Of Choice

 

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