2016.10.30
「気にしすぎない」の精神論で女性器コンプレックスは解消するの?
女性が自分を愛すること
by freestocks.org
先日のコラム「初タンポンで学んだこと」で、自分の性器に向き合うことになったエピソードをご紹介しましたが、もう少し「女性器」にまつわるお話をしてもいいですか?
小学生の頃に観たアメリカ映画「フライド・グリーン・トマト」(1991)の中に、当時の私にとって、衝撃的なシーンがありました。
映画のあらすじは、キャシー・ベイツ演じる中年主婦エヴリンは、帰宅するとすぐにTVの前に陣取り、スポーツ番組に夢中になる夫エドとの夫婦生活に不満を感じていました。
そんな時、ストーリーテリングが上手な老女ニニーと出会い、彼女との交流で女性としての自分を取り戻していくハートウォーミングな物語です。
そのシーンは、エヴリンが女友達と一緒に参加している自己啓発系の講習会でのひとコマ。
講習会に集まった女性たちに手鏡が手渡され、「女性のシンボルである女性器を鏡で見よう!」と、女性器の自己観察が行われます。
エヴリンは、自分の性器を見ることに怖気づいてしまい、「(自分の)ワギナも見れない女よ…」とニニーに弱音を吐くのです。
私は、そこで初めて女性器を「ワギナ(vagina)」と呼ぶことを知り、「女性たちが集まって性器を見る会合があるなんて!アメリカの女性たちってオープンすぎる!」とカルチャーショックを受けたものです。
その後、大学生になり、「女性のマスターベーション」についてのリサーチをしていくうちに、このワークショップは、映画の中のフィクションではなく、1980年代からアメリカで実際に行われているものだと知りました。
小学生の私には、刺激が強すぎましたが、この講習会と映画が伝えたいメッセージは、「女性が自分を愛すること」でした。
「気にしすぎない」じゃクリアできない
私が、一緒にお仕事をさせていただいている医師 喜田直江先生は、女性器形成を専門にされています。
先日発売された「女性器コンプレックス」(喜田直江著/幻冬舎)には、延べ3000人以上の女性器コンプレックスを解決してきたエピソードが綴られており、女性器コンプレックスが女性の人生に暗い影を落としていることがよくわかります。
直江先生のお話は、いつもとても勉強になるのですが、ご著書の中でも「もっと自分の女性器に興味を持ってほしい」「日本では性器を『陰部』『恥部』などと呼び、興味を持つことが悪いことのように考えられがちです」「それは自分を愛することでもあるのです」とコンプレックスに悩む女性たちにエールを送ってくれています。
私自身、女性器のコンプレックスが全くなかったかというとそういうワケでもありません。
「アンダーヘアが邪魔」と思えば脱毛をして、色素沈着が気になれば、ホワイトニングクリームを塗って締め付けのないシームレスショーツを履き、膣の潤いと弾力をアップするアンチエイジングのための医療レーザーも体験しています。
コンプレックスをほったからしにせず、医療と美容の文明の利器を活用し、少しでもコンプレックスを感じる部分は、せっせとお手入れをしています。
でも、それは、この仕事に就いてからのこと。
「女性器コンプレックス」で、自信がなくなり、恋愛やセックスを楽しめないのはもったいなさすぎる。
「気にしすぎない」という精神論では、コンプレックスはクリアできないこともあります。
今は、「お金にものを言わせてコンプレックスを解消する」方法もありますし、なかなか人に相談できないデリケートなお悩みに、これからもこのコラムで切り込んでいきたいと思います。
つづく。