Columコラム
2025年02月 の記事一覧
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2025.02.24
雅子・貞夫の性のお悩み相談室 ゲスト出演
産婦人科医であり、94歳となっても未だ新しいことに興味を持ち続けておられる「性と健康を考える女性専門家の会」名誉会長の堀口雅子先生、アドバイザーの堀口貞夫先生のおふたりから、相談室という看板のもと、たくさんお話を聞かせていただきます。 第31回:付き合って1年半の彼氏が、射精をしているのか分からないです。彼氏がセックスに満足しているのか、不安になります。今回は、イルカさん(23歳・女性)から、以下のお悩みをいただきました。「付き合って1年半の彼氏がいるのですが、セックスをするときに射精をしているのか分からないです。気持ちいいとはいうのですが、いつもそろそろ終わろうかと終わるので、射精をしてないのではないかと思いました。コンドームはじっくり見たらいけないと思い、確認できていません。彼氏がセックスに満足しているのか、私に気を遣っているのではないかと不安になります。」今回は、雅子先生、貞夫先生に加え、ゲストに当会理事の森下さん(助産師・日本性科学会会員)と、会員のOliviA(オリビア)さん(ラブライフアドバイザー・アロマセラピスト)をお迎えし、4名での相談室となりました。貞夫先生は、「日本では『セックス』と言うと、性器の挿入(結合)までを含むため、イルカさんのお悩みも挿入まで含めて考えましょう」と説明されました。また、「男性がセックスをする際には挿入を前提に考えていることが多く、妊娠と感染症の2点は必ずセックスと関連しています」とのお話がありました。雅子先生からは、「コンドームって、見たらいけないの?」との大切な問いかけがありました。森下さんからは、コンドームの正しい使用方法(装着から廃棄まで)についての説明があり、「誰がつけても良いし、女性がつけてももちろん問題ない。さらに、使用後にコンドームが破れていないか女性が確認することも大切です」とのアドバイスがありました。また、「コンドームは『見てはいけない』『触ってはいけない』というものではない」ということも強調されました。さらに、全員から「日本では性に関する質問をどこにすればよいか迷う方が多いなか、専門家に相談してくれてありがとう」と、イルカさんへの感謝の言葉がありました。続いて、男性の射精が話題になりました。貞夫先生と森下さんから、「男性は自慰行為では射精できても、膣内射精ができないことがある」との話があり、考えられる理由については、OliviAさんが「特に床に擦りつけるなど強い刺激で射精をしている場合、膣内のような柔らかい刺激では射精が難しくなることがあるため、柔らかい刺激に慣れる練習が必要になる場合がある」と、詳しい説明がありました。イルカさんのパートナーも、このような悩みを抱えておられるのかもしれません。また、イルカさんのお悩みにはご自身の満足感や気持ちよさについて書かれておらず、ご自身はどうなのか、も気になりました。最後に、「挿入と射精をゴールにしないセックスもあります。ふたりが満足できるセックスが大切です。どうぞコミュニケーションを大切にし、お互いにさまざまなことを話し合える良い関係を築いてください」とのメッセージが送られました。(森下さんは雅子先生・貞夫先生と同室におられましたが、録画係の不手際により画面には写っておられず、今回は声だけのご参加となりました。不手際をお詫びいたします。)
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2025.02.12
1/29 「男の子のデリケートゾーンについて泌尿器科の先生が真実をお話しする会」レポート
性と健康を考える女性専門家の会のメンバーにお声がけいただき、「男の子のデリケートゾーンについて泌尿器科の先生が真実をお話しする会」に参加しました。テーマは「男性器治療をビジネスではなく医療として確立する」包茎やサイズの悩み、大人も子どもも適切なケアを知らない現状など、学びの多い時間でした。質疑応答では、手術の効果や男児のケアなど気になることを色々と質問させていただきました講師はカズ博多クリニック 平山和秀先生講演会 概要包茎手術の実態|年間15万人が選ぶ道包茎手術を受ける人は年間15万人。10代から70代まで幅広く、未成年の来院はほぼ100%が母親同伴だそうです。意外でした。成人男性は「包茎が心因性EDの原因になる」という研究もあり、見た目だけでなく、性機能の悩みも深く関わっています。 男性器の3大コンプレックス1.サイズ2.包茎3.早漏・形状(曲がり・ねじれ)・臭い こうした悩みを持つ男性は少なくなく、年齢とともに気になり始めるタイミングも変わるとか。例えば…部下ができた(お風呂やゴルフなど、裸になる機会が増える)娘に彼氏ができた(義理の息子にバカにされたくない)介護される時のため湯灌の時に親族に見られるかもしれないため(棺に納める前に故人の体を洗い清める旅立ちの身支度) こうした場面で、「今さらだけど…」と手術を決断する成人男性もいるそうです。知られていない包茎手術のリスク 高額請求やリスクの高い治療が横行インターネットでは「3000円-5000円で手術」と広告が出ているが、実際には50万〜100万円かかるケースが30%。カウンセリングで「亀頭にヒアルロン酸を入れると、皮が戻らない」とアップセルされることも。これが原因で後悔するケースも多いのだとか。 年間10件の壊死ケースペニスは血管の束のため、手術の失敗で血流が止まり、壊死してしまう訴訟が年間10件報告されているそうです。これらはほんの『氷山の一角』に過ぎず泣き寝入りしている方も多くいると考えられています。より安全な治療の確立が求められています。男性器治療を「医療」にするために男性器の悩みは、悪徳ビジネスのターゲットになりやすい分野。高額請求、不要な手術、リスクの説明不足…現状は決して優しいものではありません。でも、本来こうした治療は「医療」として考えられるべき。 悩みがあるなら、まずは信頼できる専門医へ 手術のメリット・デメリットを知ることが大事 子どもに対しても、正しいケアを知ることが大切子供の包茎ケア2歳の息子を育てる私にとって特に印象的だったのは、「子どもの包茎ケア、どうする?」という話。「ほっとけばいい」と言われることも多いですが、実際は…2歳時点で30%は自然にむける。しかし、子供の頃にケアしないと、成長してから「勃起時にむけない」「むけるけど完全にむけない」「常にむけない」という悩みを抱えることに。 むき方を間違えると、炎症や再癒着を繰り返すリスクもでは、どうするのが良い? 適切なケア → 炎症を抑え、清潔に保つことが大事 専用ソープの活用 → 市販のものは刺激が強すぎるので、母親と同じデリケートゾーンソープを使うのも◎「15歳までにむけていなければ手術を検討」という話もありましたが、それ以前に「どうケアすればいいか、親が知っておくことが大切」だと感じました。平山先生が開発した日本初の男の子のデリケートゾーンケア用抗炎症作用のあるクリーム「キレイにむけたね」が近日発売されます。2/9に横浜で開催された親子の健康応援イベントでは、沢山の親御さんがブースでお子さんのケアについてご相談されていました。 日頃、女性の悩み相談を受けることが多いのですが、男性のコンプレックスや男児のケアについても知識を深めたいと勉強し直しています。
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2025.02.12
男性のセクシャルウェルネスを考える「賢者の時間」プレス発表会レポート
2/6男性向けセクシュアルウェルネスサプリ「賢者の時間」プレス発表会が開催されました。ゲストに植物療法士の森田敦子さんを迎え、主催の北原みのりさんとともに、「男性のセクシャルウェルネス」について多面的に語り合いました。男性の性—なぜ今、考える必要があるのかイベントでは、男性の性欲やホルモンの関係、パートナーシップに与える影響についておふたりの視点から語られました。「性欲はどこから湧いてくるのか?」という根本的な問いに対し、森田さんはフランスで学ばれた植物療法や性科学、文化的背景から解説。直接的な性行為への欲求だけでなく、相手に魅力を感じ、「触れてみたい」と感情が湧き、徐々に親密さを築くことも性欲の表現ではないか?"というお話に共感します。私は、カップルのスキンシップの改善策にイギリスの動物行動学者のデズモンド・モリスが発見した人間の性行動をボディタッチの観点から分析した「親密さの12段階」をよく引用するのですが、それにも通じるお話でした。しかし、日本では男性の性欲が「男性的な強さ」と直結したり、不貞行為など否定的なイメージと結びつけられることが多い現状があります。人間の三大欲求として性欲が語られる時は肯定的に捉えられることもあるものの、大抵は「キモ語り」「迷惑語り」され、森田さんが語るロマンチックな性欲のイメージとはだいぶ距離があるように感じます。性欲の新しい定義や理解が必要であるとの議論が行われました。加害者臨床では性加害は性欲ではなく支配欲が行動原理と分析されています。性欲についての誤解も根深いです。 植物療法とセクシュアルウェルネスの関係森田さんから書物「戦いに挑む男性のための自然療法」が紹介され、ローマ時代から使われてきたハーブがどのように男性を支えてきたのか話が広がりました。サプリに配合されている中世ヨーロッパの修道院で使われていたチェストベリーに注目が集まりました。また女性は月経や妊娠出産、更年期を通して、ホルモンの変化に対応するケアの必要性を感じますが、男性は自らのホルモンバランスを意識する機会が少ないという指摘も。男性の性に向き合うことの大切さ男児の性教育にも話が及び、「養育者は性に嫌悪感を持つのではなく、自然な生理現象として理解し、ケアすることが重要」という意見が出されました。私自身もこれから男児の子育ての現場で直面することになる課題と性に対する適切な伝え方を考えさせられました。今回のプレス発表会は、男性のセクシュアルウェルネスに新たな視点を提供するとともに、性欲に関する偏見を見直す契機となりました。性欲の変化を単なる「衰え」と捉えるのではなく、セルフケアの一環として向き合うことの大切さが語られました。お二人の対談は、多角的な意見と具体例を通じ、今後の性に対する理解を深める貴重な議論の種となったと感じます。「賢者の時間」をきっかけに、男性の性をフラットに語る文化が広がっていくことを願っています。 ▶︎「賢者の時間」プレスリリースはこちら