2018.02.22
第2回 ラブライフで人生をもっと豊かに。女性を解放するラブライフのススメ。
大学生の頃から、現在に至るまで「ラブライフ」のアドバイザーとしてのキャリアを確実に積み重ねてきたOLIVIAさん。20代の頃にはあえて若く見られないように、大人びたメイクなどをして、相談者に不安感を与えないような努力もしてきたのだとか。
第2回目の今回は、人生の成熟期にさしかかった女性に向け「膣のケア」の大切さを語っていただきました。
――膣のケア、と言われてもピンとこないのが正直なところです。膣のケアって、大切なものなんでしょうか?
「膣のケア」こそ、大切です!!…と声を大にして言いたいくらいです(笑)
まず、45歳にさしかかって来ると、潤いが少なくなってくるっていうのは膣だけじゃなくて身体全体に言えますよね。ドライアイになったりドライマウスになったり。肌も乾燥しやすくなったりするのは、老化現象のひとつだと思うので、特にすごく嘆くことはないと思っています。「老いを受け入れる」というか、自分の今のコンディションを受け入れるっていうことは大切で、若い時とは違う身体の変化が出てきたときに、「じゃあどういう風に性行為をした方がスムーズかな」っていうのを無理に若作りしなくて受け入れて考えることにもつながるからです。
「無理のない、年齢に合ったセックスをパートナーと考えていく」っていうのがいいのかなって思いますね。
実際の行為のことで言うと、性交時に痛みを感じる時には、潤滑ゼリーを使うこと。いまいろんな種類が出ていますしね。後は、自分で潤いやすい体を作るために、自分の生活を見直すっていうのもありますね。健康な状態っていうのは粘膜が潤ってる状態なので、全身の「潤い」という部分に意識を向けてみてもよいのかなと思います。
後はマスターベーションも効果的ですね。性的な意味だけじゃなくて性器のマッサージをするっていう。外性器のマッサージと、あとは指を入れるのに抵抗がなければ、膣の中に指を入れて膣をほぐすような感じでやさしくマッサージしてもらえれば良いと思います。日本人の女性って、特に膣に自分で何かを入れるとか指を入れるのにすごく抵抗があるんですよ。たとえば月経用品の比率で言っても、海外だとタンポンユーザーの比率って日本よりも多いんですね、月経がある女性の3割~5割と言われています。日本は高品質なナプキンが発達しているというのもあって、ほとんどタンポンユーザーは3割以下というアンケート結果があります。月経の時でさえ自分で膣に何かを挿入するのが怖いという意識があるからです。海外の女性と比べても、日本の女性は自分の性器に対して無知であるし、手入れもしてないですし、意識が低いのかなと思っています。
――どうしてなんでしょう?海外では自分の性器や性全般の意識があるのに対して、日本は性器に対して意識が低い…社会的なもの、いわゆる「国民性」のような部分もあるのですか?
明治時代以降に「純潔教育」が入ってきたこともひとつの原因かなと思います。「結婚前は処女であるべき」という考えは、明治時代以降に、教育現場で女学生に向けて行われ始めたと言われています。女性は「性的に無知であった方が良い」「女性の性は男性によって開かれる」みたいな価値観の名残が現代にも続いているとも考えられますね。だから、自分自身で快楽に目覚めるっていうのは「みだら」な女性だと決めつけてしまっている部分もあるのかなと。あとは、性に関すること全般を「恥ずかしい」と思っている方が多いですね。
女性の性の部分に関して「恥」とか、「隠すべきこと」のような価値観があるから、余計に手つかずになっていると思いますね。
「恥ずかしい」という理由で婦人科の内診を受けていないから、先進国の中で、日本人の女性の乳がん検診・子宮頸がん検診受診率は40%代と極めて低いのが実情です。婦人科系の疾患の発見が遅れるということも言われています。
セックスだけじゃなくて生殖器の健康に対する意識も低いと思いますね。
みなさん、肌とか顔とかのお手入れはするじゃないですか(笑)だから、性器もお手入れするっていう発想は、全然おかしなことじゃないんです。私たちが年齢を重ねるのと一緒で、性器も年を取るんですよね。顔にしわが出来たり、ドライアイになったり、極端に言うとだんだん体が干からびていくわけじゃないですか。
だからこそ、美容的な部分と健康の為に性器をよく観察して、お手入れをすることと、セックスでより気持ちよくなるために自分の性器を手入れしようっていう2つをセットで考えてもらえたらいいのかなと思いますね。
ちなみに、江戸時代の文献をひも解くと、遊女など「プロ」の女性達は、膣を「りんの玉」というトレーニンググッズを使って膣を鍛えたり、濡れないときは「ふのり」を塗るなど、男性客を喜ばせる方法などが書かれている物もあります。
庶民の性生活は、どうだったかというと、春画がありますが、ポルノの意味合いもあるので、デフェルメされて描かれていると思います。
江戸時代以前の日本の性文化はかなり大らかであったと言われていますね。
――他の身体の部分をお手入れするように、膣のお手入れもすごく大切だっていうことですね。
年齢によって潤いを良くする、というと食生活や生活改善とか、解決できる方法ってあったりするんですか?
粘膜に潤いを持たせる食べ物は、ぬめりのある食べ物、山芋、おくら、納豆などですね。あとは、粘膜を保護するビタミンAを含んだ緑黄色野菜やレバーも良いと思います。
粘膜を保護する成分の含まれているものを食事にバランスよく取り入れることが大切ですね。後は、性器を直接的にマッサージして、血行を良くすることもおすすめしています。何でもそうなんですが、やっぱり人間の機能って使わないと退化していっちゃうんです。たとえば男性機能も、長くセックスレスとかだったらやっぱり衰えてきているかなって思うんですけど、新しい恋人ができて定期的にセックスしていると、男性器も回復するというか、サイズも大きくなると言われています。女性器も同じことだと思います。久しぶりにするとやっぱり膣が委縮していて痛いとか、昔ほど濡れないし、昔ほど感じにくいし…ということは誰にでも起こり得ることです。自分でウォームアップを普段からしておくような感覚で、マッサージが有効なのかなと思います。
――身体をほぐしておくっていうことですよね。温めておくというか。
身体を温めておくのもいいですね。後は筋肉の収縮でオーガズムを感じるので、膣トレってよく言われるような骨盤底筋のトレーニング、性器脱を予防するためにも大切です。筋肉もどうしても硬くなってくるので、膣トレプラス意識してお手入れをするっていう、そういう感覚が特に年齢を重ねてくると大事だと思いますね。
――ちなみに、女性の「オーガズム」を感じやすくする膣のトレーニングの方法っていうのも、いくつかあるんですか?
もともとはケーゲル体操と呼ばれ、産後の女性の膣まわりの筋肉を鍛える体操から派生しているのが膣トレなんです。
女性って膣だけ意識して動かすって結構トレーニングしないと難しいんですよ。括約筋って尿道口と膣口と肛門を締めたり緩めたりを司っているところなんですが、肛門と尿道の筋肉は、毎日排泄するときに使うから、「おしり(肛門)を締めてください」って言うとできるんですね。「おしっこを我慢してください」って言ったらちょっと前の方力入れる。
「膣だけ締めてください」っていうと、動かせているのかわかない女性が多いのです。大切なのはその3つの括約筋を特にバランスよく鍛えておくことです。特に膣周りを締めたり、緩めたりって道具も要らず、いつでも気が向いた時にできるので、ぜひやってもらいたいなと思います。電車に乗っているときでもいですし、立ってても座っててもできるので、普段から締めて緩めるみたいなのを、空き時間にしておくだけで膣周りも強化されて、オーガズムも得やすくなります。もちろん、男性と行為をしている時も締め付けが強くなるので、男性の方も気持ちよさがアップしますし、おすすめですね。
性器を支えている「骨盤底筋」が緩んでくると、膀胱や子宮が出てしまう「性器脱」の原因になります。
臓器が下垂して、膣から出てしまう状態になり、手術をされる方が更年期以降の女性で多いと聞きます。そういったものをしっかり予防する意味でも更年期に差し掛かったら、性器に意識を向けてほしいなと思いますね。
――健康管理の一環として、性器のコンディションを意識して、膣のトレーニングをするというのが、なんだか自然なことのように思えてきました。
年齢がいくにつれて、そういうのは健康の一つとしてとらえていただければ…と思うんです。いきなりエロいこととかセックスじゃなくてっていう、「入り口」と認識していただくのがいいのかなと。
女性としての魅力とか、女性性っていうのは、生殖器のお手入れをすることで、女性としての自尊心を取り戻すとかっていう風に繋がるんじゃないかと私は思っていますね。
肌をきれいにするのと同じで、性器もきれいにすることはごく自然なことなんです。むしろなぜ性器だけきれいにするっていう意識にならないんだっていうところが逆に不思議だっていうことですよね(笑)
「他はお手入れするのに」「好きな人に見せるところなのに!」という風に思いますね。
…そうは言っても、どうしてもデリケートゾーンっていうとセックスにまつわることとか、「マスターベーション!?とんでもない!」という方もいらっしゃいます。でも自分で見たり触ったりしないっていうことは汚れてるかもしれないし、セックスにおいて感じる感じないという快感を男性任せにしてるっていうことですよね。お相手の男性へのエチケットとしてもちょっと欠けてるかなっていう風にも思うんです。自分の身体をきちんと、わかって、管理できるのが性的に成熟した女性かなって私は思いますね。
――コンディションを見るときのポイントとかあったりするんですか?
「膣トレがちゃんと締めたり緩めたりできてるかわからない」っていう方は、清潔にした指を膣に入れて自分で動かしてみて動いているかを確認してみてください。膣が委縮している方で、自分で指を入れるのも痛みを感じてしまう場合は、まず身体を温めて、膣の入り口を柔らかくほぐして、まずは指を一本入れる練習から始めてみるといいと思いますね。年齢がいくと膣壁が薄くなるので、膣に指を入れてもふかふかしている感じがしないとか、膣壁の凹凸が少なくなってくると言われています。なので、自分で指を入れても痛くないか、潤っているか、しっとりとふっくらしているかっていうので、自分の中のコンディションを確認するのはできますね。
――そのチェックはいつするのが良いですか?お風呂から上がった後とか、寝る前とかですか?
清潔にしているときの方がいいので、身体が温まっている、寝る前とかお風呂場が良いと思います。一人になってリラックスできるところで試してみるっていうのがいいんじゃないですかね。お風呂でデリケートゾーン用のソープで洗うときに一緒にチェックするという習慣をづくりもいいですよね。
――そういう意識をもってお風呂に入るのってまたちょっと違いますよね。
別に性行為をする相手がいなくても、そういうお手入れをしていいと思うんですよ。別に「セックスしないから手入れをしない」っていうことではないので(笑)
日常から、そういうお手入れし始めると自分の身体に、女性として自信が持てるきっかけになると思うんです。性行為にもいい循環があるんじゃないかなと思いますね。「自分の身体(快感)は自分のもの」っていう感覚になると、「乱暴に扱われたら嫌だな、ちゃんと言おう」とかね。セックスが気持ちよくないとか、いまいちだなって思っても、「しようがないな」って今までは思っていたかもしれないですけど、お手入れして大切にちゃんとしてるっていう意識が芽生えたときに、乱暴に扱われたりとか、気持ちよくないのに「身体貸してる」って感じて、だんだん嫌だなっていう風に女性の方が目覚めてくると思うんです。それならセックスをせっかくするんだったら、もっといいセックスしたいなとか気持ちよくなりたいなってそっちにだんだんとこう気持ちが向いて、シフトしていくのかなって。これ、本当女性にはぜひ体感してほしいですね(笑) ただ、いきなり「膣トレ」の話をしても、日本人の女性は恥ずかしがり屋っていうのと、もろエロに抵抗がある方が多いので言い訳をつけながら、啓蒙していくようにはしていますね。
――性器から女性の意識も変わったり、生活ももしかしたら変わるかもしれないし、男性にお任せだったセックスが、すこし変わる…きっかけになるのかもしれないですね。ちなみにその性器のそのお手入れをしている人って、たとえばその女子力とかっていうのは変わったりするものなんですか?
そうですね、やっぱり、内なる自信というか、私のところに来る女性はケアをするっていう意識が高い方ですけど、性の話もきちんとできる方が多いですね。「きちんとケアをしている」っていう自信から、もちろんパートナーがいらっしゃる方も多いですし、大人の女性としてかっこいい感じを受けますね。性生活も大事ってちゃんとわかってケアしている方は、女としての自信がみなぎっているというか。
それにね、性生活自体を男性に全部責任を覆い被せちゃうと、男性もすべて請け負うのって、逆にプレッシャーになって悩みが深くなると思うんですよ。男性機能が低下して途中で萎えて中折れしちゃうとか、勃起できないってなったら、女性をすごくがっかりさせてしまうし、女性の方も彼に全部委ねてるから自分でどうすることもできないから気まずくなりますよね。二人のセックスを行き詰まらせないためにも、「あ、ちょっと彼が元気がないんだったら、じゃあ私が頑張って勃たせてあげようかな」って積極的に動ける女性になれるかもしれないし、男性にもメリットが生まれやすくなると思います。行為の時って、男性ってちょっと心配しちゃうと思うんですよ、女性がそんなあれこれ詳しいと自分がリードしづらい…とかね。でもそれ実は逆で、性に関して知識があって意識が高い女性って、きちんと男性心理のことも汲み取れるようになるというか、うまく立ち回ってくれるんですよ。ね、いいことづくめだと思いませんか?(笑)
――膣トレがこんなにまで、良い影響を与えるんですね!女性の準備が整えば(膣を含む)、じゃあ次はセックスなのかな、と思うんですけど、夫婦間やカップルの間でセックスレスが常態化してしまっている方たちも大勢いると思います。
そうですね。セックスの場合はパートナーありきになってくるので、一緒にどういう風にセックスしたいかとか、コミュニケーションは絶対不可欠なものになると思います。身体の不調や不快感があって、じゃあどういう風にしたらいいのかって、一緒に解決策を考えない限り、セックスレスや、セックスにまつわる問題は、解決できないと思いますね。
<写真:田形千紘 文:掛端玲>